昨日、2016年1月17日、第52回京都市民読書会に参加してきました。
これまためちゃくちゃ面白かったので、早速その内容をレポートしたいと思います!
京都市民読書会とは?
京都市民読書会は、その名の通り京都で開催されている読書会です。京都市民だけでなく、他府県からの参加ももちろんOK。
課題本が1冊決まっていて、各自で事前に課題本を読み意見を交換し合うというスタイルです。
京都市民読書会のブログから、その説明を一部抜粋します。
「ふつうの人」たちが、社会的背景から離れ、一冊の本を共有することを通して、対話・共感し合える回路となる場としての読書会を作ることを目指しています。
また、今日の読書会で主催のゆたかさんは「京都市民読書会はプリズムのようなもので、いろんな角度から入る光(見方)が乱反射するのが面白い」と仰っていました。(ニュアンスあってるかな?)
参加してみたら、きっと「あ、なるほど」と感じられると思います。
参考:京都・大阪市民読書会
課題本が決まってることの面白さ
今回の課題本は、夏目漱石の「坊っちゃん」。
今年の1月3日にフジテレビの新春ドラマスペシャルが放映されたことを受けて、この課題本にされたそうです。
「坊っちゃん」は中学生か高校生の頃に一度読んだ記憶はありましたが、さして印象に残っていませんでした。
しかし、再読してみてめちゃくちゃびっくり!坊っちゃんって、こんなに面白かったっけ!?
最初に読んだときは、全然その面白さに気付けていなかったことがわかり驚愕でした。今回たまたま読書会の課題本だったから読みましたが、こんなきっかけがなければ自分の意思で再読することはなかったと思います。
課題本が決まってる読書会の面白さって、こういうところにあるんだなあ。
あの頃のわたしは何を読んでたんだ
でまあ何が面白かったかっていうと、物語の主人公である「坊っちゃん」と下女の「清」の関係性なんですよ!
わたし、昔のおぼろげな記憶では坊っちゃんとマドンナと赤シャツが印象に残ってるくらいで、清の存在なんて綺麗さっぱり忘れてたんです。(おい)
でも改めて読んでみたら衝撃。むしろこれは坊っちゃんと清の物語と言っても過言ではないではないか!!
しかもそう思って読んだときのラスト5行の物悲しさといったらもう…。
いや、なめてました。わたし、「坊っちゃん」のこと完全になめてましたわーーーー!!!
最初にこの本を読んだときのわたしは、何を読んでたんだ…
1冊の本を違う視点から読むことによって生まれる「深み」
自分で読み返しただけでもかなりの衝撃を受けたわけですが、複数人で同じ1冊の本を読んで感じたこと、考えたことを共有するというのがまた面白いんです。
人によって見方が違うから、同じ表現でも多角的に読むことができて、その結果物語の深みがより一層増すんですよねえ。深い。深いわあ…。わたしの今までの読み方がいかに浅かったことか。
夏目漱石の他の作品と比べてどうとか、この作品が書かれた時代背景がどうとか、聞けば聞くほど面白いです。
読めば読むほど面白い
まず冒頭から面白い。
親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間程腰を抜かした事がある。(中略)小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階位から飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。
さらっと読み飛ばしちゃいそうなんですけど、二階から飛び降りた坊っちゃんに対してお父さんは「危ないやろ」とか「何してんねん」って怒るわけじゃなく、「二階から飛び降りたくらいで何腰抜かしてんねん」って言ってるんですよね。
この親にしてこの子ありというか…(笑)でもそう思うと、坊っちゃんが無鉄砲なのってお父さんにかまってほしい、認められたいっていう想いもあったからなんじゃないかとも思えてきます。
お父さんは坊っちゃんに対して貴様は駄目だ駄目だと言い、お母さんはお兄ちゃんのことを贔屓する。
そんな中で唯一坊っちゃんを全面的に肯定してくれたのが下女の清でした。清は坊っちゃんが将来大物になると信じて疑わず、その結果として坊っちゃんもまた自分がいつか何者かになれると信じて疑わずに大人になってるわけです。
清がいなかったら、坊っちゃんはもっと卑屈に育ってても不思議じゃないと思います。清がいたおかげで心屋仁之助さんの言う「どうせ愛されてるし」精神が坊っちゃんの中で育まれて、結果的にあの破天荒さが生まれたのではないかと考えています。
「人間は好き嫌いで働らくものだ。論法で働らくものじゃない」とか考えてるあたり、坊っちゃんは「なんか知らんけど教」の人間な気がしてなりませんw
とまあこんな具合に、思考が広がるのなんのって。ブログ数記事書けそうです。
まとめ
課題本が決まっている読書会に参加するのは初めてでしたが、「なんで今まで参加しなかったんだろう!」と思うくらい面白かったです。
今回の読書会でいろんな話を聞いた今の状態で、もう一回「坊っちゃん」再読してみますわ。第一次坊っちゃんブーム、到来するかもしれません。